新艇アウトリガーカヌーで初の、父島・母島横断ボヤージュ

要会日記

2018年7月、父島と母島にそれぞれ一艇ずつの新しいアウトリガーカヌーが届きました。OC-6(オーシー・シックス)と呼ばれる、6人乗りのレース用カヌーです。

母島の真っ白なカヌーは『ベルーガ』(シロイルカ)ブルーラインの入った父島のカヌーは『ike-kai』(イケ・カイ…海を知る)と名付けられました。

 

新しいカヌーで母島に行きたい!

レース用にデザインされたカヌーはスタイリッシュでカッコよく、漕いでみるとやはりそのスピード感は圧倒的!

『このカヌーで母島まで行ってみたいねー!』

『これならきっと、母島まであっという間に行けちゃうね!』

そんなおしゃべりが現実に向けて動き出し、海が春から夏に変わって穏やかになる6月中旬に予定を組み、ゴールデンウィークが明けた頃から、早朝や夕方に集まっての練習が活発に行われていました。

 

6月の予定が延期に

ところが、6月中旬に予定を組んでいた日程は台風の影響による時化で中止に。練習を繰り返しながら気持ちを上げてきただけに、クルーたちはガックリ…

でも、ここまで上げてきた気持ちと団結力はこの夏の間にカタチにしたい!

クルーたちだけでなく応援してくれている方々の想いも一緒に海に託しました。

 

そして、夏の繁忙期である定期船の着発運航が終わり、週末におがさわら丸の入港がないタイミングの8/31~9/1に予定を組み直しての調整となりました。

 

そして、最終決断の2日前。今回は天気の急変もなく出港できるであろうという判断で準備に入り、父島から母島へ向かう往路に参加する母島のクルー4名が、前日にははじま丸で父島入りしました。

 

 

小笠原神社にお参りをして出発

早朝4時半、扇浦に集合。

空は真っ暗、まだ星の輝いている朝の4時半に扇浦・レストハウスに集合。先ずは、全員そろって扇浦の神様が宿る『小笠原神社』へ航海の安全祈願を行います。

クルーの安全を願って家族や仲間が編んでくれたレイも奉納。

レストハウスに戻り、今回の航海上の潮の流れと風向きを確認。リーダーのイチ君が、航路予定と潮汐をクルーに伝えます。新月明けの朝なので、海は大潮。南方に低圧部があるので、うねりが入ってくる可能性もあり。

母島の真北ではなく、西寄りに航路をとって進みたい、などなど。

 

航海予定を確認した後に、クルー全員でカヌーを波打ち際まで降ろします。

そして、奉納したレイをクルー全員とカヌーへ。

クルーの奥様方より、見送りのフラ『丸木舟』

 

 

豪雨と虹に見舞われながらの出港

さあ、いよいよ出発というときに雨が降り出しました。

しかも豪雨! 派手なお清めです(笑)

 

実はこのカヌー ike-kai は、雨と虹を呼ぶ船なのです。 父島でのお披露目会のときには雨を、元旦・朝漕ぎのときには虹をもたらしてくれました。

なので出港を見送ったメンバーは、慌てることなく青灯台へ移動。伴奏船『アイランドクィーン』へ乗船します。

手作りの『いってらっしゃい・フラッグ』に見送られて、先に出港したカヌーを追いかけます。

 

予想よりも悪い海況

二見湾から外洋に出てみると、予想を上回る荒れ模様! 父母間の60キロは簡単ではないということを知らされるかのように、波を受けて進むカヌー。 来月に葉山で行われるレースに出場する強者メンバーを先発隊にしたのは大正解でした。

そして、やはり現れてくれた虹。漕ぎ手を応援してくれているように感じます。

空と海とパドラーの一体感が美しい♡

 

初体験・外洋でのウォーターチャンジ

南島を過ぎて波が少しおさまったところで、漕ぎ手の交代です。『ウォーターチェンジ』と呼ばれる、パドラーチェンジ。

進むカヌーの前方に船をまわし、先ずは3人が海に飛び込みます。その3人のところへカヌーが到着すると同時にカヌーから3人が海へ飛び込み、待ち受けていた次のパドラーが空いたシートへよじ登ります。

湾内では何回か練習していましたが、風と波のある外洋で実践するのは初めて。みんな、緊張しながらの交代でした。

再び船をカヌーの前方へまわし、残りのふたりが同じように交代します。 舵取りを務めるリーダーのイチ君だけは、カヌーに乗りっぱなし。

 

ベタ凪の海をパドリング

南島を過ぎてからは、多少ウネリがあるものの風はほとんどなく、気持ちよくパドリングを続けられました。

伴走船での待機組は、海に飛び込んで涼をとったり、横になって体力の温存に努めたり(笑)

 

母島海域の難所・わんとねを渡る

母島の北西部に『わんとね』と呼ばれる海域があります。潮や風がぶつかり、複雑な流れの起こる海域。

出発から5時間ちょっと経った頃、それまで凪ぎていた水面に白波が立ち始めるのが見えてきました。この海域を渡ってもらうのはやはり、先発隊の強者メンバーです。

10年前に渡った時には2時間ほどかかったという『わんとね超え』

今回は、トレーニングを重ねたメンバーとレース仕立てのカヌーのおかげで、1時間ほどでクリアしました。

 

母島・脇浜に到着

わんとねを超えてからの漕ぎ手は、母島メンバーに交代。ホームへのゴールを目指します。

再び凪に戻った海を滑るように進み、沖港へ入って脇浜へゴール!

母島クルーの仲間たちから、約57キロの海を渡ってきたクルーへ、レイのプレゼントをいただきました。

 

5:45に扇浦の要岩を出発し、脇浜ゴールは13:12.、約7時間での往路。

疲れたというよりは楽しかった一日でした♪**

夜は父島カヌークラブと母島カノークラブの親睦を兼ねた夕食会。翌日にも同じ行程を控えているので20時には解散し、ほとんどのメンバーが21時には就寝していたようです。

 

 

月ヶ岡神社にお参りをして、母島を出港

一夜明けての集合場所は、5時に月ヶ岡神社。

父島・扇浦を出発した時と同じく、母島の神様にご挨拶してから出発しようというリーダーの提案により、月ヶ岡神社に参拝してからの出港としました。

復路を伴走してくれるのは朋漁丸(ほうりょうまる)。

クルーの体調を気遣い、テントを張って日陰を作ってくれていました。感謝!

そして母島カノークラブのみなさんは、ike-kai の兄弟船・ベルーガとシロカヌーを用意してくれ、沖まで見送ってくれます。

白ベースのカヌーが3艇並んで走る様子は美しく、カヌーを通じて交流できた私たちの気持ちをそのまま表現してくれているようでした。

 

 

予想以上にきつい帰路

母島西の奇岩・四本岩の手前で母島のみなさんと別れたあとは、帰路に向けてパドリングに力を入れます。

前日の体感と予報天気図より、往路よりは荒れてくるだろうと予測していましたが、思った以上に厳しい潮となりました。

通常、カヌーの舵取りは6番目の漕ぎ手である『ステアマン』が行うのですが、一番手と二番手に舵取りサポートをリクエスト。漕ぎ方を変え、3人で舵を取りながら進みます。

 

 

わんとねの威力を見せつけられる

出発からすでに厳しい潮模様、待ち受ける『難所・わんとね』はどんなことになるのかドキドキしながら、強者メンバーに交代します。

 

これでもかというくらい、カヌーに襲いかかる波の連続。カヌー内に入る水を掻き出す作業も続きます。 いつの間にか、カヌーの船首にかけられていたレイも、わんとねに呑まれて消えていました。

そして伴走船の船首からは、わんとねの終わりが見えないと思われるほどに続く、時化た海が見えています。

 

 

疲労を隠せないクルーたち

伴走船に待機しているクルーたちも、前日からの疲労を引きずって船酔いに見舞われがち。口数も少なくなります。

時折船をカヌーに近付けてもらって声援のコールを送っていましたが、それは漕ぎ手だけでなくすべてのクルーに対しての声援だったように思います。

 

 

母島から父島への中間地点を過ぎて再び強者メンバーでのパドリングになると、課せられた課題は『2時間連続パドリング』

南島近辺での潮は再び厳しくなるであろうとの予測ができたので、レースへの練習も兼ねて(!?)他のメンバーを引っ張ってもらおうというはからいです(笑)

頼りの強者メンバーも、さすがに1時間を超えると、背中に疲れが見えてきます。 漕ぎ手のペースが落ちるのを感じると、伴走船を近づけて声援。

『カッコいいよー!』のかけ声がかかると、パワーの復活するパドラー陣(笑)

応援、大事です(笑笑)

父島の南側に位置する『ハートロック』が見えてくると、父島から『おかえり!』と声をかけられているようで、それもまた励みになりました。

 

レディースチームで感動のゴール

『ゴールはレディースで決めたら?』という声が上がり、南島海域を超えて海況の落ち着いたところでレディースに交代。ゴールを目指します。

海が凪ぎて楽勝かと思いきや、向かい風に苦戦。 レディースにパドルを任せたメンズは、ゴールを待ち受けるために、伴走船のスピードを上げて青灯台へと向かいました。

湾内に入り『けっこうきついね』と言いながらパドルを続けるレディースを励ましてくれたのは、ゴールの扇浦・レストハウスに掲げられたフラッグでした。

『おかえりって書いてあるよ!』
『要会のロゴもある!』

気持ちが高ぶって泣きそうになり、それ以上は口に出せずにパドルに力が入ります。

前日に伴走してくれたアイランドクイーンも、その日のツアーを終えてゴールを見届けにやってきてくれました。

そして、ついにゴール!

先回りして駆けつけたクルーとその家族・仲間からの盛大なシャワーを浴びながら、出発地であり最終ゴールの扇浦に到着しました。

 

要会のステキなオハナ(家族)

父島からクルーを送り出して父島で待っていたオハナのみなさんは、2日間で約115キロを漕いできたクルーをねぎらうためのごちそうを用意して待っていてくれました。

うれしい!

 

今回の遠征を応援・サポートしてくれたみなさん、いろいろとありがとうございました。

アウトリガーカヌーで繋ぐことのできた、父島・母島間。その距離が、たくさんの人の想いによってとても近くなったように感じます。

クルー全員、感謝の気持ちと大きな絆を抱えることができてしあわせです。

本当にありがとう♡

 

コメント

  1. Chika より:

    たかみちゃん、とっても良く書けていて
    感動がよみがえります。お疲れ様。ありがとう。

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